今年で創業60年を迎え、唯一商店街に店をかまえる真珠専門店。
1965年創業、あこや真珠を中心に取り扱っており、宇和島の真珠養殖の歴史と共に歩んできました。
真珠のまち宇和島は、温暖な気候と豊かな土壌に恵まれ日本一の真珠生産量を誇っています。
原産地で真珠を売れることは、私たちの”プライド”です。
大阪から宇和島へ
結婚をきっかけに、生まれ育った大阪泉南市から、宇和島にやってきた幸子さん。嫁いだ当初から変わらないことは、人の温かさや食べ物のおいしさです。新鮮な魚が毎日手に入るという贅沢も、都会から来た幸子さんにとって特別でした。
そして、結婚の時にもらった真珠のネックレスは、今でも宝物。
ここぞ!という勝負の時や、大切な日のお守りとして身につけています。
真珠は今でもずっとかけがえのない存在です。
井上真珠店だからこその、こだわり
店内は縦長の作りで、たくさんの真珠アクセサリー達が迎えてくれます。
高価な宝飾を扱うお店というと、なかなか敷居の高さを感じていましたが、
入ってみると、明るい店内の様子やスタッフの笑顔で緊張もすぐにとけました。
“自然や生命に感謝し、
地域や人との関わりを大切にして
お客様へと幸せを繋いでいきます”
をモットーに、品質には厳しく、こだわりを持って製品を取り扱っています。
店舗販売とネット販売、アンテナショップも松山・大阪・福岡にあり、幸子さんが出向くこともあります。
現在、スタッフは社長含め5名。
新しいことや面白いことへのチャレンジ精神を大切に、日々前進しています。
販売・デザイン・制作、すべての工程を行えるハイブリットなスタッフが揃う風通しの良い会社です。
『売ることももちろん大事やけど、学びとか知識が大事になってくるよね。
高価なものだし、節目のジュエリーに対して、やっぱり自分達もブラッシュアップしていかんと失礼やなと思う』
高価な真珠を扱うには、それなりの知識が必要になってきます。
ちゃんとした加工技術やどれだけ真珠のことを知って紹介できるか、安心してお客様に商品をお届けできるよう、情報を更新・増進して行くことも大切になってきます。常に勉強です。
例えば、真珠検定を受け、真珠の正しい知識を身につけたスタッフがシニアアドバイザーとして活躍しています。
また、一般の方向けに”初めての真珠講座”を開催するなど、真珠のことを学べる場を提供しています。
そして、宇和島の真珠の成り立ちを知るために水産試験場に見学に行くことも。
他にも、和紙職人やフォトグラファーとのコラボイベントをしたり、マルシェに参加して地域を盛り上げたり、幅広く活動しています。
真珠選別から、お客様の手元に届くまでの工程に関われること、働きながら勉強をして自分を高められるところは、
井上真珠店ならではのこだわりです。
かかせない太陽の光
『真珠って選別するのに光線がいるから、太陽光を取り入れるためにわざと中庭を作ってるんよ。』
確かに、お店の真ん中くらいに使われていない中庭、高いガラス張りの窓があって、教えてもらうまで、なぜあるのか分かりませんでした。
真珠は見る場所や時間帯によって見え方が変化するから、繊細な輝きを見極めるために太陽光が適しているそうです。ひとつ勉強になりました。
これからアクセサリーになる真珠たち、色や形、キズ、巻き、光沢(テリ)具合などをポイントに、用途や品質、サイズ別に分けていきます。
真珠選別は、何十年と経験を積んでも極めることが難しい世界だそうです。
勤続年数38年と42年という熟練の経験を積んだスタッフでも、しっかり目を凝らし集中して選別をしています。
接客している華やかな一面とはまた違い、作業をしている姿には緊張感も漂っていて、すごくかっこよかったです。
商品は、みんなでアイディアを出し合ったり、思いついたイメージを絵に起こして、
この真珠にはどんな金具が合うのか、どの向きでつけたら真珠が活きるのか、生花(いけばな)のような感じで、出来上がりを想像しながらひとつひとつ形にしていきます。
自分がデザインした商品をお客様が気に入ってくださった時は、
『あーやっぱりね♡』と嬉しくなります。
やりがいを感じる出来事の一つですね。
だから、大切な大切な私たちの商品をきちんと届けたい!という気持ちが強いのです。
丁寧に説明して正直に売りたい。なぜ高いのか、お買い得なのか、お客様に合うのか。
今まで感性で見ていた部分を、言語化して説明できるよう、日頃から心がけています。
ひとつとして同じものはない
『私が結婚する時にお母さんが買ってくれたけん、今度は娘に買ってあげたいんよ』
と言って、昔買ったアクセサリーのケースを持ってお店へ来てくれたお客様。
おばあちゃん、お母さん、子、孫へ…真珠が受け継がれていく。
家の歴史とともに真珠があって、
祝いの席にも悲しみの席にも登場する唯一の宝石。
どんな時も真珠は、その傍でそっと見守ってくれる…
けれど存在感を示しながら、やさしく寄り添ってくれます。
『じーんときますね。』
『歳月を重ねた関わりができるし、家の歴史の中に井上真珠店がある、本当に嬉しいことやね。』
あこや貝の体内、自然の力で育まれ、大きさも色合いも艶もさまざまです。
お客様の手でさらに、世界にひとつだけの真珠に磨かれてゆくのです。
真珠が大好き、そしてこの宇和島が好き
『奥が深すぎて、22年勉強しても全くまだまだ..これからもずっと学びたいですね』
いくら勉強しても学び尽くせない真珠、まだ見ぬ面白さをたくさん秘めています。
宇和島の海と、そこで働く人の真面目で真摯な人柄や、辛抱強さがあったからこそ
真珠産業をここまで押し上げました。それが今も受け継がれ残り続けています。
『その歴史を守っていきたいし、豊かなこの海を、今生きている私たちが残して後世に繋げていきたいね。
そういう使命感や、奥深い真珠の世界をどんどん知っていく楽しさもあるし...一番は、真珠が好きやからやね。』
と笑顔で語ってくれる幸子さん。好きな想いが強いからこそ、こんなに一生懸命になれるんですね。
真珠をきっかけに宇和島を訪れる人がもっともっと増えてほしい。宇和島の自然や真珠の歴史に触れることで、
年齢・性別・国籍を問わずたくさんの人にとって真珠が身近なものになってくれることを願っています。
真珠の魅力を知り、伝える旅はまだまだ続きます...
これからも楽しい挑戦が続く井上真珠店から目がはなせません。
入力内容の確認×
内容をご確認の上「送信」を選択してください。
記事をクリップ
追加するグループを選択してください。
