あっちでは「たま」、こっちでは「ちゃとら」、そっちでは「たわし」。
行く先々で違う名前で呼ぼれる野良ねこのような青空市を育てています。
全国でも珍しい駅舎内温泉がある「松丸駅」の目の前にあるレストラン「Tommy」。
夕方には観光客と風呂上がりの近所のおじいちゃんが一緒になるお店です。
ここのマスターには料理人とは別の顔があります。
それが「家具を作る人」。
「職人」と言わないのは、本人があくまでも「素人の日曜大工」と言い張るから。
けれど素人の目には、その仕上がり具合は職人芸。
ランチとディナーの合間に制作をしている工房を覗いては、
「これは凄すぎる。」
「絶対に売れる!」
と、周りではしゃいでいると、決まってマスターが呟くセリフがありました。
「松野町にはもっとすごいクラフトマンが沢山いる。」
そして、
「いつかこの駅前通りで、クラフトマンたちを集めた青空市を開いてほしい。」
です。
いや…簡単に言うけど、よそ者の自分が呼びかけてもなー。と思いつつ、毎回煮え切らない生返事を返してました。
それでもなにかキッカケを探れたらと思い、まずは数名のクラフトマンに声をかけて、子ども向けのモノづくりワークショップを企画したりして数カ月が過ぎていきました。
(模索時期の記事はこちら⤵)
話しが独り歩き
そんなある折、地元のある事業者さんからかけられた声が、
「今度、松丸駅前で青空市を企画するんやけど、増沢君、一緒にやらん?」というお誘いでした。
この事業者さんというのは、以前の記事で紹介した「軽トラ市」を主催している商工会の青年部の方で、Tommyのマスターから「増沢君がかねてからクラフトマンを集めたクラフト市を企画したがっている」と聞いていたとのこと。
「増沢君がやりたいってことになっている !(゜゜)! 」
という驚きを飲みこみ、話を聞いてみると、
「軽トラ市は商工会がついてるけど、各事業者が自発的に町の地域経済を盛り上げる動きをしていかなきゃいけない」という、アツい想いに触れ、二つ返事で制作に加わることに。
(軽トラ市の様子はこちら⤵)
「松丸市」誕生。そして野良へ。
声をかけてくれた「菓子工房KAZU」さんが実行委員長として飲食部門を、自分がモノづくり部門を担当することに決まり、同じく協力隊の一人を加えた三人の実行部隊で制作を開始しました。
名称は、開催地区の名称である「松丸」からとって「松丸市」に。
一人繋がると数珠繋ぎに広がっていくのが田舎のすごいところ。キッカケ探しで開催していた「モノづくりワークショップ」の講師役の作家さんを皮切りに、近隣の隠れクラフトマンたちにどんどんと繋がっていき、最終的に18人のクラフトマンと14組の飲食店が駅前通りに軒を連ねました。
天候にも恵まれ、400人を越える来場者を迎えて無事に終わった松丸市でしたが、寄せられた声の中に気になる言葉がありました。それが、
「なんで松丸にしたんか?」
「うちの地区でやったらええのに」
というもの。
これは、本当に地元の人にしか分からない感覚ですが、「松丸」という特定の一地区の名称を冠した企画だと、同じ町内であっても別の地区の人は引っかかるものがあるようです。
一見ネガティブに聞こえるような話ですが、お祭のような地域の伝統行事を盛り上げてきたのもこの「地区間の対抗意識」が関わっているし、その根元にあるそれぞれの誇りが各地区の風土を守ってきたわけでもあります。
「じゃあ、いろんなとこで開催する青空市にします!」
野良ねこスタイルが決まりました。
地域で育てる青空市
晴れて、野良になった青空市ですが、その開催条件は「開催地区の住民から実行委員長が立った場合のみ」。
理由は「地元の人に作ってほしいから」。
その地区にはその地区の習わしやネットワークがあるので、その地区をよく知る人が音頭を取るのが一番です。どこで開催される場合でも、第一回からの運営スタッフが両脇を固める体制を取ります。
第二回は、第一回に引き続き松丸地区での開催が決まり、その次の三月には豊前という地区での開催が決定しました。
二つ目の名前で呼ばれる三月がいまから楽しみです。
松野町で、地域に一歩踏み込んだ買い物がしてみたいと思う方は是非下記リンクから情報をチェックしてみてください。
追記(1月11日):新型コロナウィルス(オミクロン株)の感染拡大に伴い、第二回松丸市は中止になりました!3月の開催に関しては上記公式アカウントにて随時公開していきます。
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