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#05 響く音は、少しだけ。平日に集う仲間と、立ち上がる「柱」の物語。

モノにモノガタリを。地域の記憶の居場所。

あの日、みんなで一斉に作り上げた、真新しい木の「舞台」。 倉庫に響き渡った、いくつものインパクトドライバーの音と熱気は、今も肌に焼き付いています。

そして今。 あの熱狂が少し落ち着いた倉庫には、また別の「創造の音」が響き始めています。

『トントン……、コツ、コツ……』

それは、週末の「ハレの日」の音とは違う、日常の「ケの日」の音。 Fab Shedの物語が、また一歩、静かに、そして確実に進んでいる証です。

「集まれる人が、集まれる時に」

Fab Shedの場所づくりは、一気呵成に進むものではありません。 「みんなが揃う週末じゃなければ、何もできない」 わたしたちは、そうは考えませんでした。

大切なのは、「続けること」。 少しずつでも、昨日より半歩でも、前に進むこと。

「平日のこの時間なら、少し手が空くな」 「じゃあ、僕も」

そんなふうに、平日に集まれる仲間たちで、次のステップへと歩みを進めることにしました。 目指すは、このだだっ広い空間の「骨格」となる、『壁』を立てること。

空間に「線」が引かれていく

床という「面」ができた今、わたしたちが立てているのは、垂直に伸びる「線」= 柱です。

平日の昼下がり、集まったのは数人。 週末のような賑やかさはありません。 けれど、そこには、メジャーを伸ばす真剣な眼差しと、木材の反りを見極める静かな集中がありました。

設計図を元に、床に引かれた墨(すみ)の上に、一本、また一本と柱が立てられていく。 インパクトドライバーの音も、あの日のように重なり合うことはなく、一つひとつが丁寧に、木材に吸い込まれていきます。

それは、まるで空間に輪郭を描いていくような、魔法のような時間。

この柱と柱の間が、いつか「部屋」になる。 

一本の柱が立つたびに、未来のFab Shedの姿が、ぼんやりとした夢から、確かな「現実」へと近づいていくのを感じました。

確実に、育っている。

Fab Shedの物語は、週末の派手なイベントだけで紡がれているわけではありません。 仕事の合間を縫って、日常のわずかな時間を見つけて集まってくれる、仲間の手によって。 この静かな平日の「コツコツ」という音の中に、Fab Shedの心臓は、確かに脈打っています。

この倉庫は、ゆっくりと、しかし確実に「わたしたちのアジト」へと育っているのです。

もし、平日にふと時間が空いたら。 この静かな熱気があふれる倉庫を、そっと覗きに来てみませんか。 一緒に、次の柱を立ててくれる仲間を、わたしたちはいつでも待っています。

柱と窓

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